二重のフレーム

中河伸俊「フレーム分析はどこまで実用的か」中河伸俊・渡辺克典編『触発するゴフマン:やりとりの秩序の社会学新曜社,2015年,p.135.

こうしたプレイマリー・フレームワークは,人びとの社会生活の組織化の基盤であるだけでなく,ベイトソンが観察した哺乳類の“けんかごっこ”のように,ときに(とくに社会的なものは,ただしときには自然的なものさえもが)フレーム変換される。争いにおける攻撃や追跡のモーションが,たとえば噛んだり前肢で撃ったりする仕草をしても歯や爪を立てないというように体系だったやり方で変形され,参与する個体間で「けんか」と「遊び」の二重のフレームが共有されて,その活動についての参照枠となる。